品種は最後
コーヒーの味を決める、本当の順番
スペシャルティコーヒーの世界で、ときどき聞く言葉があります。
「品種は、最後に語られるべき」
なんとなく耳に残るこの言葉。今日は、ヴォアラ流に少し解きほぐしてみようと思います。
私たちは、ゲイシャやSL28のような有名な品種を“味わいの個性”として語りたくなります。
でも、どんなに名のある品種でも、適切な品質管理をされていなければ、本来の香りも甘さも出ません。
コーヒーの味を決める順番
【1】まずは「環境」
標高、気温、雨、土壌、風──豆がどんな場所で育ったか。
ここが整っていなければ、すべては始まりません。
【2】次に「育てる人」
どれだけ完熟を見極めて収穫できるか。栽培管理が、豆の“質の底力”を決めます。
【3】それから「生産処理」
収穫後のプロセスが美味しさの透明感を生みます。ここが乱れると、どんな豆も濁ってしまいます。
【4】そして最後に、「品種」
すべてが整って、ようやく【品種】の魅力が“最後に”花開くのです。
たとえば、ゲイシャという品種も、すべてが整っていなければ、“あの華やかな香り”は決して出てきません。
つまり品種とは、これらの工程の後に現れる、「味の答え合わせ」なんです。
だから私たちは、豆の名前だけに目を向けるのではなく、その豆がどんな旅をして、今ここにあるのかに心を寄せたいのです。
今夜も良いひとときをお過ごしください。
ヴォアラ珈琲 霧島国分本店
〒899-4332 鹿児島県霧島市国分中央5-3-17
焙煎人 井ノ上 達也