風で焙煎するという発想
「火」よりも「風」が主役
ヴォアラ珈琲で使っている焙煎機ローリングは、完全熱風式です。
完全熱風式なので煙やガスが豆に戻らない構造で、豆の芯までふっくら火を通し、クリーンで香り高い焙煎が可能です。
直接火を当てるのではなく、空気でじんわり温める──それはまるで、コンベクションオーブンのような焙煎。
そもそも「コンベクションオーブン」とは?
•食材に直接火を当てるのではなく、熱風(=対流熱)で包み込むように加熱する方式
•表面と内部を同時にじっくり加熱できるため、ムラが少なく、風味や水分を閉じ込めた仕上がりに
コーヒー焙煎機で言う「コンベクション型」とは?
焙煎における熱の伝わり方には、主に3つあります:
熱の伝達方式、特徴
伝導式(コンダクション)
金属と豆が直接触れて熱が伝わる
直火式・ドラム接触型
輻射(ラディエーション)
赤外線などの放射熱
炭火焙煎・特殊機
対流式(コンベクション)
熱風が豆を包み込むように加熱
なぜ「コンベクション重視」だと美味しくなる可能性がある?
•豆の内外を均一に加熱しやすい
→ フレーバーのバランスが良く、過加熱による焦げ感が減る
•焙煎プロファイルの再現性が高い
→ 毎回安定した仕上がりで、風味の設計がしやすい
•クリーンな味わい・明るい酸を引き出しやすい
→ 豆表面に余計なスモークやチャフの影響を受けにくい
どのような焙煎機がある?
1. Loringスマートロースター(アメリカ)
•完全熱風式(ダイレクトコンベクション)
•煙や燃焼ガスが豆に再付着しない構造
•世界のトップロースターも導入
2. IMF(イタリア)
•セミ・コンベクション+熱交換器で滑らかな加熱
•芳香成分を飛ばしすぎず保ちやすい
3. ROEST(ノルウェー)
•小型で家庭〜ラボ用ながら完全面風制御
•「焙煎の味の解像度を上げたい人」に注目されている
なぜヴォアラ珈琲が取り入れるのか
これらの熱風式焙煎機では、「火」よりも「風」が主役。
煙やガスが豆に触れず、香りがクリーンに残る。
その結果──
・甘さがふわっと出る
・酸の透明感が美しい
・焦げやえぐみが出にくい
火を抑え、風を操る。
そんな焙煎方法だからこそ、果実味も酸の透明感も、ふわっと素直に残ってくれるのです。
私は未来には更に進化したスチームコンベクションオーブンの様な焙煎機もできると思います。
今日も良い1日をお過ごしください。
ヴォアラ珈琲 霧島国分本店
〒899-4332 鹿児島県霧島市国分中央5-3-17
焙煎人 井ノ上 達也